まどろみと夢のあいだ

ゆうべから大雨が降り続いていて、せっかくの週末なのに家から出るのも億劫で、そういうときに長太郎とすることといったらひとつしかない。ベッドの中でまどろんで、くっついて、あちこち触れあっていたら自然とそんな気分になる。そのま…

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ひみつ

お互いに欲しいものが合致するときがある。似たもの同士なんて言葉があるが、一緒に暮らしていると趣味嗜好まで似通ってくるものなのかもしれない。欲しいもの。それは新しい服だったり、甘いものだったり、少しの刺激だったりする。大抵…

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わがまま

ワンドロお題お借りしました。 「ひとつだけ、わがままを聞いてやる」頭上から降ってきた声に、一呼吸おいて鳳は顔を上げた。窓際のフローリングに直に腰を落として足の爪を切っていたのだ。息を吸いながらそれが己に向けられた言葉だと…

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夜間飛行

宍戸さんお誕生日おめでとうございます!!!! しつこい、とは少し違う。長太郎の手のひらに撫でられるときは、自分の余分なものを少しずつ少しずつこそがれていくような感覚になる。たとえば薔薇の茎に生え揃った棘の先端を、ひとつひ…

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納涼祭

鳳宍ワンドロ企画に参加しました。テーマ「夏のおわり」 窓の外から聞こえてくる遠雷ような重低音に、身支度を整えていた宍戸はハッと顔を上げた。耳を澄ませば、再度ドォンドォンと懐かしさを伴って破裂音の重なりが聞こえてくる。「ま…

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ふたり の じかん

金曜。真夜中。つかの間の解放感と安らぎ。食事のあとバーにはしごして、泥酔するほどではないけれど気分は上々、家に帰り着いても宍戸さんは朗らかだ。「おまえ、ほんっとチマチマした食いもん好きだよなぁ」脱いだジャケットをダイニン…

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背中

診断メーカーより。 『鳳宍のお話は「結婚したんだ」という台詞で始まり「もう随分昔の話だ」で終わります。』 長太郎から結婚報告を受ける日吉の話 「結婚したんだ」だからどうした、とまずは思った。同窓会も終わりかけ。バイキング…

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見つめられて、触れ合う話

見つめられる長太郎の話の続きです。 目は口ほどにものを言う。宍戸さんの熱視線の理由がわかったら、もう居ても立っても居られなくなった。俺との触れ合いを望んで、それを言葉にする術を知らなくて、無意識に見つめることしか出来なか…

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カウントダウン

目が覚めて、はじめの一呼吸。夜中の湿っていた空気とは違う、冷たくまっさらな空気。それに混じって、毛布にくるまった体からは自分のものではない匂いがして、そしてだんだんと腹の下の方に昨夜の名残を感じ始める。昨日の長太郎は、酒…

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