狼3
狼2の続きです 月が明るい。駅からの帰り道、ぽつぽつと街灯がともる路地を歩きながら見上げた空にはまんまるの満月。雲一つかかっていない。草むらがあるのかどこからか涼やかな虫の音も聞こえてきて、秋の月夜にピッタリな雰囲気を醸…
続きを読む →狼2の続きです 月が明るい。駅からの帰り道、ぽつぽつと街灯がともる路地を歩きながら見上げた空にはまんまるの満月。雲一つかかっていない。草むらがあるのかどこからか涼やかな虫の音も聞こえてきて、秋の月夜にピッタリな雰囲気を醸…
続きを読む →ぱちゃん。湯舟の水面が揺れる。立ったまま浴槽のへりに片足をかけて壁に手を付く宍戸は、鳳の楔が急にうしろから抜けていく感覚にぶるっと身震いした。湯舟の中を一歩後ずさりした鳳に性急な手つきで腰を掴まれたと思えば、硬いままの陰…
続きを読む →朝から長太郎が離れない。顔を洗う時も軽く部屋の掃除をしている間も、俺の後ろをついてまわってはくっついてばかりだ。遅めの昼食を作るためにキッチンに立ったのだが、背中から抱きしめてくるので野菜を切る手が止まってしまった。「お…
続きを読む →起床。まずは洗濯物を洗い直すことにした。昨日洗ったまま洗濯機の中に放置してしまったのはいけない。宍戸さんのお世話を完璧にこなそうと決意したというのに、最後の最後で詰めが甘かった。「だってさぁ、宍戸さんてば、たまんないんだ…
続きを読む →しっかりしなきゃと自分で自分を鼓舞したはいいものの、そう容易いことではないと鳳は自覚していた。宍戸のフェロモンに誘われたら何をおいても身を差し出してしまうのだ。食事よりもセックス、睡眠よりもセックス。性的欲求を満たそうと…
続きを読む →腰の上にのしかかる重みと、濡れた感触で目が覚めた。どうなっているのか、何をされているのか、まぶたを開く前からわかっていた。なぜなら眠る直前まで同じ温かさに包まれていたのだから。「長太郎、起きたか?」俺に跨る宍戸さんは、裸…
続きを読む →東京に戻ってきてから初めてヒートを起こした宍戸は、鳳の衣服で巣を作り緩やかに発情した。その甘いフェロモンに呼応するように、鳳は宍戸を求め、宍戸は巣に招き入れた。これは、ヒートに不器用なΩと、彼を心から愛するαの、巣ごもり…
続きを読む →狼の続きです あの満月の夜。初めて長太郎と深く繋がった夜。窓から差し込む淡い光をギラつく瞳に反射させて、長太郎は俺を見た。押し付けられ揺さぶられるたびに床に擦れた背中も、噛みつかれた首も、爪が食い込むほど強く掴まれた足も…
続きを読む →オオカミなんです、俺。青空の屋上で、弁当の肉団子に箸を突き刺しながら長太郎は言った。横目で見ながら口の中のサンドイッチを飲み込んで、パックの牛乳を啜って、流れの遅い雲を見あげる。「なんだそれ。昨日のこと言ってんのか」「え…
続きを読む →※鳳宍に娘が産まれています。 白い砂浜を踏みしめる。潮風と照り付ける太陽を肌で感じて、波の音を聞いた。長太郎が波打ち際まで俺の手を引く。笑顔。打ち寄せる波。つま先が、濡れる。 「おとうさん! おきて!」「んあ?」毛布ごと…
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