部室で秘密の時間を過ごす二人の話

宍戸さんの唇がひたいに触れる。温かさに思わずまぶたをぎゅっと閉じたら、皺の寄った眉間にも同じように口づけられた。「次は?」薄く瞼を開いたら宍戸さん顔がすごく近くてびっくりしちゃって、でも座り込んだ背中はロッカーにくっつい…

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風邪をひいた長太郎の話

「長太郎、具合どうだ?」トーンを抑えた聞きなれた声がして、俺はまぶたを開いた。今朝目覚めたときから熱があり大事を取って横になっていたのだけれど、重くなるまぶたに反してなかなか眠れず今に至る。宍戸さんが俺のおでこのぬるくな…

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すれ違いが寂しかった二人の話

今夜もまた、真っ暗な寝室に息をつめて踏み入れる。家具の配置を思い出しながら、体に染みついた感覚を頼りにベッドにたどり着いた。微かに寝息が聞こえる。ベッドの左半分、いつもの定位置で既に夢の中にいる長太郎の気配をうっすらと感…

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朝のあれこれ

背中にぴたりとくっついて眠っていたはずの長太郎に首筋を甘噛みされる。鳩尾を撫でる温かな手のひら。その指先は俺の鼓動を確かめるようにゆっくりと左胸を這い、尖りを擦り始める。ゆうべ散々弄ばれたせいで、些細な刺激ですら俺を夢の…

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月に共鳴

目覚めたときから微熱があり、学校を休むほどでもないからと家を出たはいいものの、動くたびに体の感覚に違和感があった。首元が苦しい。ネクタイを緩めても、シャツの襟ぐりがうなじや首筋に触れるだけで息苦しく感じる。衣服の布地は胸…

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テンダー・モーニング

※鳳宍に娘が産まれています。 白い砂浜を踏みしめる。潮風と照り付ける太陽を肌で感じて、波の音を聞いた。長太郎が波打ち際まで俺の手を引く。笑顔。打ち寄せる波。つま先が、濡れる。 「おとうさん! おきて!」「んあ?」毛布ごと…

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