エマージェンス・ピリオド DAY3
腰の上にのしかかる重みと、濡れた感触で目が覚めた。どうなっているのか、何をされているのか、まぶたを開く前からわかっていた。なぜなら眠る直前まで同じ温かさに包まれていたのだから。「長太郎、起きたか?」俺に跨る宍戸さんは、裸…
続きを読む →あいくるしいシリーズ、オメガバース、短編など、気ままに投稿します。
Twitterやpixivでは公開しない既刊の続編も載せていきたいです。
<あいくるしい、オメガバースについて>
時系列を把握するために全話タイトルを載せていますが、*のついているものはオフライン(既刊)のみの公開となっていますのでご了承ください。
腰の上にのしかかる重みと、濡れた感触で目が覚めた。どうなっているのか、何をされているのか、まぶたを開く前からわかっていた。なぜなら眠る直前まで同じ温かさに包まれていたのだから。「長太郎、起きたか?」俺に跨る宍戸さんは、裸…
続きを読む →東京に戻ってきてから初めてヒートを起こした宍戸は、鳳の衣服で巣を作り緩やかに発情した。その甘いフェロモンに呼応するように、鳳は宍戸を求め、宍戸は巣に招き入れた。これは、ヒートに不器用なΩと、彼を心から愛するαの、巣ごもり…
続きを読む →トリシシおうち診断からお題頂戴しました “小さな台所で お互いの体の贅肉をつまむ 次の日のデートに浮かれている鳳宍”(デート感はどこかにいきました) 明日は日曜。晩御飯を食べ終わったし、お風呂にも入ったし、あとは眠…
続きを読む →狼の続きです あの満月の夜。初めて長太郎と深く繋がった夜。窓から差し込む淡い光をギラつく瞳に反射させて、長太郎は俺を見た。押し付けられ揺さぶられるたびに床に擦れた背中も、噛みつかれた首も、爪が食い込むほど強く掴まれた足も…
続きを読む →オオカミなんです、俺。青空の屋上で、弁当の肉団子に箸を突き刺しながら長太郎は言った。横目で見ながら口の中のサンドイッチを飲み込んで、パックの牛乳を啜って、流れの遅い雲を見あげる。「なんだそれ。昨日のこと言ってんのか」「え…
続きを読む →「俺ね、宍戸さんの手が好きです」寝転がったまま俺の手を取って、長太郎は目を細めた。体を重ねて、汗だくになって、果てたあとに残った心地いい疲労感にまどろみながら見つめられると、満足したはずなのにまた触れたくなってしまうから…
続きを読む →ベッドに押し倒されて、右手も左手も繋がれシーツに縫い止めるように拘束された。ゆっくり覆い被さってきた宍戸さんは俺の唇に唇を寄せて、そして啄むようにキスをした。「なぁ、今、なにしてる」宍戸さんが問いかける。分かりきっている…
続きを読む →バレンタインが近い。クラスの女の子たちは誰にどんなチョコレートをあげるかという話題で持ちきりだ。こっそり盗み聞いている男子たちは、気にならない振りをしていても期待を隠しきれない様子でそわそわしている。友達に、おまえは気に…
続きを読む →「ただいま帰りましたぁ」玄関を施錠する金属音からややあって、リビングのドアが開いた。足元を這うような冷気とともに帰ってきた長太郎は、鼻の頭と頬を真っ赤にして、髪の先が少し濡れている。「おう、おかえり。なんだ、雨降ってきた…
続きを読む →せっかくの日曜日だというのに、朝から宍戸さんの様子がおかしい。どんな風におかしいのかというと、ぼーっとして、なんだか動きもゆっくりしている。まさか風邪でもひいたんじゃないかと思って熱を測ってみたけれど、体温計に示された数…
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