乱破

草木も眠る丑三つ時。月のない闇夜に、ぎょろりと光る目玉が二つと二つ。音もなく木々を渡り、山のてっぺんの大杉に止まった。戦火を免れたこの杉を、この土地の人間は御神木として崇めているという。そんな信仰を知ってか知らずか、たと…

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隣人

俺の住んでいるアパートの壁は薄い。ちょっと大きな音で音楽を流そうものならすぐさま壁を殴られる。夜中の静かな時間帯なんかは、隣の住人の足音すらも聞こえてくるくらいだ。他人の生活音が気にならないといえば嘘になるが、そこまで繊…

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いつの世までも

残業でクタクタになった金曜の夜。通勤に使っている路線の沿線上にあるデパートで沖縄物産展が開催されていると知ったのは、帰りの電車の中だった。車内には夜遅いというのに人が溢れていて、つり革につかまって外を眺めても地下鉄の暗い…

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狼3

狼2の続きです 月が明るい。駅からの帰り道、ぽつぽつと街灯がともる路地を歩きながら見上げた空にはまんまるの満月。雲一つかかっていない。草むらがあるのかどこからか涼やかな虫の音も聞こえてきて、秋の月夜にピッタリな雰囲気を醸…

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愛のしるし

鳳長太郎がそのしるしを見つけたのは、部活終わりのロッカー室でのことだった。着替えの途中、上のユニフォームを脱いだままベンチにどっかり腰かけた宍戸の、ハーフパンツがめくれて露出した内ももにそれはあった。直径一センチの、すも…

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いっしょに朝ごはん

うちに宍戸さんが泊まりに来た日の俺の決めごと。次の朝には和食の朝ごはんを作ること。 いつもより早めの時間に目覚ましをかけておいた俺は、まだ眠っている宍戸さんを起こさないように、そーっと寝室を出た。本当は、うつ伏せている宍…

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エマージェンス・ピリオド DAY7

ぱちゃん。湯舟の水面が揺れる。立ったまま浴槽のへりに片足をかけて壁に手を付く宍戸は、鳳の楔が急にうしろから抜けていく感覚にぶるっと身震いした。湯舟の中を一歩後ずさりした鳳に性急な手つきで腰を掴まれたと思えば、硬いままの陰…

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エマージェンス・ピリオド DAY6

朝から長太郎が離れない。顔を洗う時も軽く部屋の掃除をしている間も、俺の後ろをついてまわってはくっついてばかりだ。遅めの昼食を作るためにキッチンに立ったのだが、背中から抱きしめてくるので野菜を切る手が止まってしまった。「お…

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エマージェンス・ピリオド DAY5

起床。まずは洗濯物を洗い直すことにした。昨日洗ったまま洗濯機の中に放置してしまったのはいけない。宍戸さんのお世話を完璧にこなそうと決意したというのに、最後の最後で詰めが甘かった。「だってさぁ、宍戸さんてば、たまんないんだ…

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エマージェンス・ピリオド DAY4

しっかりしなきゃと自分で自分を鼓舞したはいいものの、そう容易いことではないと鳳は自覚していた。宍戸のフェロモンに誘われたら何をおいても身を差し出してしまうのだ。食事よりもセックス、睡眠よりもセックス。性的欲求を満たそうと…

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