stay

簡単な一言が言えない、なんてことはよくあることで、午睡を貪り日の傾きかけたころに目覚めた鳳長太郎は呆然と天井を見つめていた。ソファーに上背のある体を折り畳むように収めて眠っていたせいで、かすかに筋肉の動きがぎこちなく、良…

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わがまま

ワンドロお題お借りしました。 「ひとつだけ、わがままを聞いてやる」頭上から降ってきた声に、一呼吸おいて鳳は顔を上げた。窓際のフローリングに直に腰を落として足の爪を切っていたのだ。息を吸いながらそれが己に向けられた言葉だと…

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Lodestar

『鳳宍ワンドロ企画』参加しました。テーマ「こっそりと」商人長太郎 X 海賊宍戸さん 屋敷中の使用人が寝静まった真夜中、火の灯らないランプを手に廊下を進む二つの影があった。二人は強く握りしめた手を離すまいと、何かに急かされ…

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夜間飛行

宍戸さんお誕生日おめでとうございます!!!! しつこい、とは少し違う。長太郎の手のひらに撫でられるときは、自分の余分なものを少しずつ少しずつこそがれていくような感覚になる。たとえば薔薇の茎に生え揃った棘の先端を、ひとつひ…

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納涼祭

鳳宍ワンドロ企画に参加しました。テーマ「夏のおわり」 窓の外から聞こえてくる遠雷ような重低音に、身支度を整えていた宍戸はハッと顔を上げた。耳を澄ませば、再度ドォンドォンと懐かしさを伴って破裂音の重なりが聞こえてくる。「ま…

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ふたり の じかん

金曜。真夜中。つかの間の解放感と安らぎ。食事のあとバーにはしごして、泥酔するほどではないけれど気分は上々、家に帰り着いても宍戸さんは朗らかだ。「おまえ、ほんっとチマチマした食いもん好きだよなぁ」脱いだジャケットをダイニン…

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背中

診断メーカーより。 『鳳宍のお話は「結婚したんだ」という台詞で始まり「もう随分昔の話だ」で終わります。』 長太郎から結婚報告を受ける日吉の話 「結婚したんだ」だからどうした、とまずは思った。同窓会も終わりかけ。バイキング…

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夏服とネクタイ

家族が出払った家の中を、宍戸さんの手を引いて歩くのは何度目だろう。クーラーの効いた廊下を進むとき、宍戸さんはなにも喋らない。誰もいないとわかっていても、玄関で「お邪魔します」と言ったきり俺の部屋に辿り着くまで無口になる。…

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見つめられて、触れ合う話

見つめられる長太郎の話の続きです。 目は口ほどにものを言う。宍戸さんの熱視線の理由がわかったら、もう居ても立っても居られなくなった。俺との触れ合いを望んで、それを言葉にする術を知らなくて、無意識に見つめることしか出来なか…

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